暦の上では立秋を迎える頃。
連日の酷暑ですが、夕方吹く涼しい風に少しずつ秋の訪れを感じます。
工房の近くで小さく可愛い栗を見つけました。
最近ずっとブログを書けていなかったのですが、製造を任せていたベテランスタッフ達が引っ越しなどそれぞれの事情でここ数ヶ月の間に続けて辞めることになり、新メンバーを入れての製造や新商品発売でバタバタでした。
ようやく先月より発売スタートした「夏季限定・和ハッカ藍石けん」。
泡立てると爽やかな和種ハッカの香りが広がります。
和ハッカは西洋のペパーミントのツンとする香りとは異なり、スーッとした清涼感があるのに甘くまろやか。
涼やかなのに使用後はお肌にうるおいがきちんと残るので、マスクやエアコンで荒れがちなお肌をやさしく整えてくれます。
MATSURIKAの和ハッカ藍石けんは、個性の違う2種の無農薬の和ハッカ油をブレンドしています。
ひとつはかつて岡山県倉敷市に存在した薄荷試験場で開発された幻の品種「秀美(しゅうび)」より抽出した倉敷薄荷のエッセンシャルオイル。
「秀美(しゅうび)」はやさしい清涼感の中に、うっとりとするようなふくよかな甘さと華やかさを持つ香り。
連作ができない品種なので、採油量が少ないとても希少な精油です。
そして、もうひとつは、北海道滝上産の和ハッカ「北斗(ほくと)」は青々とした野性味の中に鼻にスーッと抜けるような爽快感と甘さのある香り。
生産者さんより今年はのハッカは虫害がひどく大変だったとのことでしたが、残り少ない貴重な在庫を分けていただきました。
どちらも素晴らしい香り。
この2種に加えて、ほのかにラベンダー精油でフローラルな甘さを加えています。
石けんのデザインはキラキラと光を集める透明なコンフェッティ石けんを散らして、下部には草木染めにも使われる藍でグラデーションを描いています。
目にも涼やかで「天然石のように美しい」とお客様からも好評をいただいています。
石けんの上部に散らしている透明石けんは、敏感肌の方も使えるように、肌に優しいオーガニック素材を使用して植物オイルから手作りしています。
グラデーションを描くのに、藍で色づけした濃淡が異なる石けんをひとさじずつのせていく。
そしてモザイクガラスを敷き詰めるように手作業で透明石けんを散らしていきます。
環境負荷の大きいパーム油は使用せず、オリーブオイルやマカダミアナッツオイルやシアバターなど、上質なオーガニックオイルをブレンドし、ハッカのメントール成分のひんやりした爽やかさがありながらも、お肌にやさしい石けんにしています。
原材料の価格が毎年高騰していく中、もっと効率化していかなくてはと思うのですが、私が届けたいのはただの無味乾燥な石けんではなく、手でつくることにより込められた「心」や「想い」なのです。
ひとつとして同じものはない。
香りや見た目の美しさに癒されるのも大事だと思うのです。
今年は例年よりも少し石けんの固さを出すようにレシピを見直しました。
来季は酷暑に合わせてもう少しハッカのスースー感が出るようにまた改良していきたいと考えています。
既存のレシピに囚われず、常に進化していきたいのです。
仕事をしている時の私の一番の幸せは、素材の良さを引き出して使った人に喜んでもらえるような新しいものをつくりだすこと。
新商品の試作中はいつも壁にぶち当たって悩むのですが、スタッフと協力していいものを生みだして、それがお客様に喜んでいただけた時はこの上ない喜びです。
どんなに私たちがいいと思う石けんを出しても、お客様に買い支えてもらわないと作り続けることはできない。
こうして3年も連続で和ハッカ藍石けんが作れているのは毎年購入してくださるお客様のお陰だと思うのです。
いろいろありましたが、新しいスタッフ達ともこうして今季の和ハッカ藍石けんが作れて本当に嬉しい。
お陰様で今季も何度も売り切れとなっていますが順次製造しています。
8月の製造分が9月になくなったらソールドアウトとなりますので、和ハッカ藍石けん→☆が気になる方はお早めに。
数年前には想像もつかなかった世の閉塞感に時おり胸が苦しくなるけど、こうしてお客様やスタッフ達のために落ち込んだり立ち止まってなんかいられない。
水と空気が清らかな岡山県北この場所だからこそ、湧き水やハーブなどの自然の癒しを届けられる。
今私にできることがある。
また新たな試作を始めようと思うのです。