大寒を過ぎて今年は特に雪の多い真庭でしたが、最近は少しずつ日差しに温かさを感じる今日この頃。
感染症の拡大も心配ですがいかがお過ごしでしょうか?
今回は、地域の方々とのつながりから生まれ、先月より販売開始した新商品のお茶について書いていきたいと思います。
石けん屋がなぜお茶を開発?
今回開発した商品は「さとやまの恵み りらく茶」
原材料は空気と水がきれいな岡山県の県北、真庭市富原地域のよもぎと赤松の葉とすぎなの3種のオリジナルブレンド茶です。
もともと石けんをはじめとした化粧品の製造販売を行っている私たちがどうしてお茶の開発に至ったのか?
もともとは2019年から取扱を始めた真庭市産の「よもぎ茶」がスタートでした。
美容健康の効能が期待できるお茶で体の内側からもきれいに整えてほしいとの思いからです。
女性に嬉しいよもぎの効能
よもぎは葉緑素、食物繊維、鉄分、ビタミン類を含み、万能薬と呼ばれるほど、様々な症状に良いとされています。
古くからお灸のもぐさ婦人病の薬としても使われ、特に貧血や冷え、月経痛など女性特有の悩みに良いとされています。
さらに近年はよもぎの「抗糖化作用」にも注目が集まっています。
「糖化」とはたんぱく質に糖が結合する現象で、糖化による最終生成物は「AGEs(終末糖化産物)」と言い、体内に蓄積し肌や血管の「老化」につながると言われています。
よもぎは既に蓄積されたAGEsを分解してくれる働きがあるということが研究により分かってきました。
(研究結果は国際化粧品技術者連盟世界大会(IFSCC)でポーラ研究所によって発表)
そうした思いから取扱をスタートした「国産農薬不使用粉末よもぎ茶」は富原製茶組合さんの高い製茶技術のお陰で「とても美味しい!」とMATSURIKAでも大の人気商品です。
高まる松の葉茶のニーズとその驚くべき効用
こうして最初は美容目的などで人気だったよもぎ茶が、今度は新型コロナウイルス感染症の流行で免疫力UPの目的のお客様が増えました。
そして、お客様の中から「松の葉のお茶はありますか?」という問い合わせを受けるようになりました。
松の葉に、抗ウイルス効果や、抗血栓効果があるというのです。
松の葉の栄養素は下記の通り。
・ビタミンC、ビタミンA、ビタミンK
・24種のアミノ酸
・鉄、マグネシウム、カリウムなどのミネラル
・クロロフィル
・タキシフォリン(ケルセチンの一種)
・プロアントシアニジン(タンニン)やカテキンなどのポリフェノール
・SOD(スーパーオキシドディムスターゼ)など抗酸化物質
・αー、βーピネンなど松精油の主成分
・デヒドロアビエチン酸(DAA)、7 α -メトキシデヒドロアビエチン酸
・シキミ酸
抗ウイルスや抗血栓については、2020年の研究で( Antiviral Activities of Compounds Isolated from Pinus densiflora (Pine Tree) against the Influenza A Virus )、赤松の皮と葉から抽出した成分から、インフルエンザAのウイルスmRNAを阻害したり、細胞膜表面にウイルスをとどまらせて死滅させるような成分があることが分かっています。
また松葉に含まれる「シキミ酸は」抗血栓や抗酸化作用があるとのこと。(出典:Antithrombosis activity of protocatechuic and shikimic acids from functional plant Pinus densiflora Sieb.)
シキミ酸は中華料理で使う「八角」に多く含まれています。
八角は漢方薬として咳止め、風邪、健胃などに用いられますが、抗インフルエンザ薬で知られる「タミフル」の原料ともなっているそうです。
これらの栄養や成分により、松の葉には抗酸化、抗炎症、抗菌、細胞修復、抗がん作用などが期待されていたり、呼吸器系のケア、他にも鼻炎、鼻づまり、目の健康、デトックス、免疫力UP、記憶や認知機能など脳の健康、LDLの酸化防止、抗炎症、抗血栓作用により心血管系の健康維持(特に赤松)その他滋養強壮や疲労回復など、ここには書ききれないほどの健康効果があるとのこと。
歴史が何よりのエビデンス
私は、「○○が体に良い」という情報を得た時に必ず歴史を調べます。
最新の研究も重要ですが、大事なのは効能が高いものほど長期摂取した時の安全性です。
先人たちが食してくれたお陰で今私たちがふぐやキノコなどが食べられるように、古くから食されていたり薬として使用されてきた事実や歴史は何よりのエビデンス(根拠)になると考えています。
様々な薬草の本を読んだところ、なんと松は中国最古の薬物書である「神農本草経」にも「ショウシ」という名で登場し訳文はこのように書かれています。
「化膿性のできもの、頭瘍、白禿、疥痒(湿疹の痒み)、風気(熱気)を治す。五臓を安んじ、熱を除く。久しく服ずれば身を軽くし、老いず年を延ぶ」
「神農本草経」が書かれたのは中国の後漢王朝から三国志の時代。
およそ今から1800年以上前の時代から松が薬として使われその後もずっと漢方薬として使用されていたなんて驚きました。
他にも松はアメリカンインディアンが、去痰、呼吸器感染症の治療に利用するなど、長い歴史の中で人々の生活と共にあったのです。
そんな松の葉に興味湧いたタイミングで、スタッフから情報を得て偶然にも富原の製茶組合さんでも松の葉茶を作りはじめたと言うことを聞き、これはぜひ商品化したいと思い立ったのです。
(写真は最初に試飲した松の葉茶)
しかしこの松の葉が独特のクセがあり松の葉の繊維が喉にチクチクして、何とも飲みにくいのです(涙)。
富原の女性スタッフの皆さんも、
「松は、私らもよう飲めません。」と言います。
何でも松の健康効果を期待して購入されたお客様も、どうしても飲めないから鼻をつまんで飲まれているとの話も聞き、せっかくの健康効果があってもそれでは続かないなと思ったのです。
畑の土壌のミネラルが昔より低下し、従来の食生活でも微量栄養素が足りないと言われる現代において、サプリメントなどの栄養補助食品が必要な時代だとは思います。
それでも、せっかく摂取するなら、「健康のためだから」と我慢して飲むのではなくティータイムが楽しみになるように、体の細胞が「美味しい!」と喜ぶ感覚ってとても大事だと思うのです。
オリジナルブレンド りらく茶の開発
そうした経緯からブレンド茶の開発に着手しました。
松をできるだけ多く使いながら、富原製茶組合さんのつくられた様々なお茶(柿の葉、桑、クロモジ、緑茶など)を少量ずつ割合を変えながら組み合わせてひたすら試飲の日々。
スタッフ達のアイデアのお陰で、よもぎ、松の葉、スギナの組み合わせが一番美味しいというブレンドが出来上がりました。
それぞれの野草特有のえぐみや苦みがブレンドすることでまろやかに飲みやすく。
味のバランスをとるために、スギナも加えました。
スギナは微量ミネラルの宝庫と言われ、代謝を良くして利尿作用からむくみに効果的で、髪や爪などの成分となるシリカ(水溶性ケイ素)を含むので美容にもいいですね。
試作品ができたら製造ですが、原材料の採取から大変な手間がかかっています。
よもぎやスギナはひとつずつ春の新芽を手摘みします。
松の葉は、環境汚染の影響を受けやすいと言われているので、できるだけ農薬散布などの心配の少ない松を探し、山の道なき道を登り、赤松の木の新芽の枝を伐採してくるのも一苦労。
採取してきた松の枝から葉をひとつひとつ切り離すのもすべて手作業です。
色よく栄養を損なわないように蒸気でさっと蒸し、乾燥させて細かい微粉末にしていきます。
こうしてできあがった3種の粉末茶をブレンドし、パッキングして「りらく茶」の完成です。
100%真庭の素材でできた里山の恵みのお茶。
健康のためだけでなく、ほっと美味しいお茶でリラックスしてほしい思いから「りらく茶」という名前にしました。
りらく茶の美味しい飲み方
りらく茶は、微粉末なので、湯飲みにティースプーン1/3〜1/2ほど入れてさっとお湯(70〜80℃くらい)または水をそそぐだけ。
松の葉茶は繊維が喉に刺さるので、ティーバッグの製品が多いのですが、MATSURIKAのりらく茶は、食物繊維や栄養素がまるごと摂取できる微粉末にこだわり、できる限り松のチクチクした繊維が残らないようにしてもらっているので、急須いらずでゴミも出ません。
続けるには美味しさと手軽さ両方が大事ですよね。
価格は1,340円(税込)ですが、袋にずっしり50g入っているので、ティースプーン1/3でおよそ1袋70回分と飲み応えも十分です。
味は松の葉の香りがして、ほんのり甘みがありながらスッキリとしたあと味。
飲むとお腹から体がポカポカと温まり、寝る前に飲むとぐっすり眠れます。
ミルクでラテにしてもとても美味しいです。
我が家は息子が牛乳アレルギーがあるので、brideの玄米ライスミルクを注いでラテにしたら砂糖不使用なのに甘みがあって美味しいです!
息子も「よもぎ茶よりさっぱり感があって、りらく茶の方が好き!」とゴクゴク飲んでいます。
個人的にはりらく茶の方がよもぎ茶よりも体を温める作用が強いと感じています。
薬効の高いものほど、毎日飲み過ぎると効果を感じにくくなるので、日々のよもぎ茶と、大切なときのりらく茶と使い分けてもいいですね。
地域に利益を還元する
富原製茶組合さんによると、コロナ禍で松の葉が注目されていることから、松の葉茶を安く分けてほしいと連絡が来て、後に高く転売されてしまうという悩みを聞きました。
手間暇かけて丁寧に作られたお茶はきちんと地域にお金がおりなければ続きません。
MATSURIKAでは、こちらのお茶を適正価格で買い取り、利益を地域に還元するようにしたいと考えています。
特に都会の暮らしは、こうした地域の生産者さんの手仕事に支えられているところが大きいのです。
富原製茶組合さんは30年近く農薬を使用せずに健康茶を作られています。
こうしたお茶や、以前ご紹介した日本みつ蜂のはちみつなど、地域の生産者さんが丹精込めた良いものを、これからも作り続けてもらえるように応援していきたいと思うのです。
全国的に感染症の急激な拡大もあり何かと心配は尽きませんね。
先の見えない不安を抱えつつ、仕事に家事に子育てにと忙しい日々に追われてしまいますが、りらく茶で一日の中でもほっと一息つけるご自愛タイムを、そして大切な時のお手あてに、ぜひご活用くださいね。
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