台風21号が刻々と近づいている日曜日。
蒜山の中和地域に古くより伝わる、「中和五草(ちゅうかいつくさ)」という5種類の薬草を使ったアロマワークショップを、真庭なりわい塾の担当者さんよりご依頼いただき、大雨が降りしきる中、ゆっくり運転で津黒いきものふれあいの里に行ってきました。
中和五草とは、ショウブ、ヨモギ、ゲンノショウコ、ドクダミ、カヤの5種類。
蒜山の中和地域では古くから端午の節句に、この5種類を束ねたものを屋根の四隅に上げ、お風呂にも入れて、家族の健康を祈ったという素敵な風習があります。
ショウブや、ヨモギ、ゲンノショウコ、ドクダミは、様々な薬効や身体を温めたりする作用があるので、入浴剤にぴったりです。
(イネ科のカヤは薬効というよりも茅葺き屋根に使われていたことから「家を守る」という願いを込めて五草の中に加えられているようです)
これらの薬草を刻んで塩と混ぜたバスソルトは、以前なりわい塾で作られたとのことで、今回はバスボムと石けん作りをしてみたいというご依頼でした。
この5種類の中で、香りが特に良かったのが、菖蒲(ショウブ)で、春に採取した生葉を冷凍したものがたくさんあったので、これを蒸留してその芳香蒸留水(フローラルウォーター)を作り、それを使ってのアロマクラフト、なんとも贅沢です。
温度を上げすぎないように時間をかけてゆっくり蒸留したら、うっとりするような甘さと背筋がすっと伸びるような神聖な余韻を持つ素晴らしい和の香りの菖蒲ウォーターがとれました。
この蒸留を皆さんに見ていただきながら、まずはバスボム作り。
基本的な材料は、重曹とクエン酸と片栗粉。コーンスターチでもできるのですが、わざわざこのためにコーンスターチを購入しなくても片栗粉で十分です。
そこにこの地域で採れた、ヨモギ、ドクダミ、ゲンノショウコをパウダーにしたものと、先ほどの菖蒲ウォーターをスプレーで少しずつ足したものを型に詰めてバスボムを作ります。
この時にバスボムの飾りとして用意していったものがヨモギで作ったバスソルト。
ワークショップ前日の夜中に、突然ひらめいて冷凍しておいたヨモギを用いて作ったのですが、なんとも美しいエメラルドグリーンが出て、夜中に一人でテンション上がってしまいました。
作り方は、ヨモギを茹で、繊維を除去したジュースを岩塩に振りかけて、その岩塩をトレイに広げて湯煎でかき混ぜながら、じっくり水分をとばしてお好みで精油で香りをつけたらできあがりです。
手間はかかりますが、美しいバスソルトができて大満足。
朝起きてきた息子は、
「ボク知ってる!これは宝石のエメラルドでしょ!」
と、本棚から、オズの魔法使いの絵本を引っ張り出してきて、エメラルドの国を見せてくれました。
息子がエメラルドの国を連想するほど、キラキラした岩塩の結晶が緑の宝石のようでした。
ヨモギは中和五草のひとつでもあるので、参加者の皆さんは大喜び。
ピンクのローズソルトと一緒にヨモギソルトも、バスボムの飾りとして大活躍。
参加者の方々の個性あふれる、菖蒲の香りのする可愛いバスボムがたくさんできあがりました。
そして、盛り沢山の今回のワークショップ、お次は石けん作り。
本格的な石けん作りはとても時間がかかるので、今回は時間の関係から、無添加石けんを粉末状にしたものに、温めた菖蒲ウォーターをたっぷり混ぜて、袋の上からもんで粘土のように作る「こねこね石けん」を作りました。
こちらの石けんは、贅沢に中和で採取されたクロモジの精油も入れました。
様々な薬草の香りを、クロモジが包み込むようにまとめてくれて、参加者のお一人が
「急に銀座の高級石けんになった!」と言われるほど、クロモジの高貴な香りは素晴らしいのです。
左端2つ、ピンクと緑のバスソルトをのせたのがバスボム。
右の3つが、中和五草のパウダーや菖蒲ウォーター、クロモジ精油を入れた石けん。
カヤを敷いたケースに入れて、蒸留した菖蒲ウォーターと共にお持ち帰りいただきました。
時間内に終わってホッと一安心。
通常は、アロマのワークショップというと、ラベンダーやオレンジなどの精油を使い、バスボムやルームスプレーなどを作ったりするので、真庭の地域で採れた和ハーブで精油がほとんど採れないものを使うというのはなかなか難しいテーマでした。
しかしながら、私達の身の回りに古くから伝わる薬草を使って、アロマクラフトを作りたいという参加者の皆さんの思いは、私の地域の素材を使った石けん作りへの思いと通じるところもあり、事業準備で慌ただしい最中ですが、これは!とピンとくるものがあり、思い切ってお引き受けしました。
私自身も学びの多いワークショップとなり、お声かけいただいて本当に良かったです。
そして、私が日曜日の仕事の間、うちの息子は何をしていたかと言うと・・・
午前中は家で一人でお留守番して、一人で昼食食べて、午後は雨の中、近くの文化センターまで歩いて行って将棋教室に参加していました。
私はワークショップ後に投票終わらせて、急いで会場に行ったら息子は真剣な表情で将棋を指していました。
すごいなぁ。
将棋と出会う前だったら、「ママのお仕事一緒に行く!」と言い、ついてくれば、「つまんない」というパターンだったのに、小2で大好きなことを見つけて自立心が芽生えて、自分から
「ボクは将棋教室に行きたいから、ママはお仕事行ってきていいよ」と
言ってくれるなんて、すごく嬉しいのだけど、彼のその急速な成長についていけていない母心・・・。
いつもバタバタだけど、ご飯適当になっちゃう日も多いけど、きっと息子はがんばれと応援してくれてる。
とりあえず寝不足解消して、明日は息子の好物作ってあげよう。