こんにちは。
台風が心配な週末ですね。
各地で被害が大きくならないことを祈るばかりです。
今回は9月25日から発売された新作せっけん、「酒かす 椿」ができるまでのストーリーを綴っていきたいと思います。
MATSURIKAのせっけん工房のある岡山県北部の山間の町、真庭市勝山。
古くは出雲街道の宿場町として栄え、白壁や格子窓の古い町並みが残ることから、昭和60年に岡山県初の町並み保存地区に指定されています。
のれんの揺れる美しい町並みと、町の人たちの優しさにふれて、この勝山に住みたいと移住してきたのが4年前。
以来ずっとこの土地ならではの勝山のせっけんが作りたいと思ってきました。
ノスタルジックな古民家カフェや草木染めの工房やガラス工房、手仕事が好きな人たちが集まる大好きな町。
そして、その中で創業以来200年以上この地で酒造りをいとなむ老舗の蔵元「辻本店」。
岡山県を代表する蔵元のひとつです。
古くは美作勝山藩御用達の献上酒として「御膳酒」の銘がついたそうです。
お酒はすっきりとした辛口なものが主ですが、女性に飲みやすいシリーズもありラインナップが豊富です。
酒蔵を改装した、レストランNISHIKURAは銀ダラの粕漬けが絶品で、私もよくお客様をお連れするお勧めスポットです。
こちらの御前酒さんの酒粕、とても香りが良くて、3年ほど前から近所で売っていた酒粕でせっけんを作り始めました。
酒粕には美白効果の高いアルブチンやコウジ酸、新しい細胞を作り、肌や髪の若々しさを保つビタミンB群など、美肌にいい成分がたくさんあるので、せっけんに入れるととてもいいのです。
最初の頃は、酒かすに含まれるアルコールの反応の早さで、すぐに固まってしまい気泡だらけのせっけん。
見た目は褐色ですが使用感はすごく良くて、酒粕せっけんをいつか商品化したいと心に決めていました。
そして工房を立ち上げてから、本格的に御前酒の酒かすを使用したせっけんを開発したいと杜氏の麻衣子さんに相談した際に、大吟醸の酒粕が、普通の酒粕よりも色も白く香りも上品でおすすめですよと紹介していただきました。
岡山県産の特別栽培の「山田錦」を半分以上磨き、醸した純米大吟醸の酒粕。
通常の酒粕よりも柔らかく、香りも甘く素晴らしい。
試しに水で溶いてお肌にパックしてみたら、しっとりもちもちで肌がワントーン明るくなる感じ!
これはすごいぞとmiyukiちゃんと試作の日々が始まりました。
金箔を散らしてみた試作品。
やっぱり大吟醸の酒かすで作ると色がきれいで香り高い。
使用感は悪くはないのですが、通常のレシピのメインがオリーブオイルのみだと使用感がいまひとつ酒かすと合わない。
今度はオイルを変えての試行錯誤の日々。
そんな時にふと思い出したのが、御前酒の名前の由来となっている御前様(旧勝山藩主)の邸宅「三浦邸」。
地域おこしの仕事で三浦邸のお手伝いをさせていただいていた時に、庭に椿の花が多いことに気づきました。
花が落ちる頃には庭掃除すると椿の花びらでいっぱい。
「椿が大好きなお殿様で椿がようけあるけぇ椿御殿じゃぁ」
と三浦邸で長年働くおばちゃん達にお話を伺いました。
雪が舞う頃には色とりどりの椿が三浦邸を彩ります。
この話に着想を得て、椿オイルをたっぷり加えてみたら、やや重みがありしっとりと潤う高級感ある椿オイルと、ふわふわの使い心地で肌がモチモチになる酒粕との相性が抜群なのです!
長年石けん作りをしていると、料理の素材の組み合わせで相性の良し悪しがあるように、石けんの素材でも相性の良い・悪いがあることを私たちは知っています。
これが面白いことにローズせっけんに椿オイルだと相性がイマイチ。
感性の鋭いmiyukiちゃんが試作品を使うなり、
「椿と薔薇はケンカしちゃうからダメだー!」
と言うくらい素材の相性があるのです。
そういう意味で、酒粕と椿オイルの相性は和の素材同士でお互いの良さを発揮できるような好相性。
椿をこよなく愛したという旧勝山藩主と、その勝山藩主に献上していた御前酒の酒粕。
古き時代に思いを馳せると、酒粕と椿油の相性が抜群なのは必然だったかもしれません。
今は、長崎県の五島の無農薬の椿オイルを使用していますが、いつか勝山の三浦邸の椿の実を搾油して石けんに使いたいです。
そして、酒粕も、ここまで入れる?というくらいたっぷり使用しています。
あまり多すぎると、石けんが固まりにくく品質が不安定になるので要注意です。
でも私たちは、石けんで顔を洗いながら毎日酒粕パックができるような石けんを目指したかったのです。
純米大吟醸の酒粕は真っ白で、甘く芳醇な香り。
この酒粕の香りが良すぎて、あえて精油を使用した香りづけはしないことにしました。
酒粕に蒜山の湧き水(塩釜の冷泉水)を入れてブレンダーでペースト状にします。
弱火にかけてアルコール分を飛ばして最後にシノワで濾すなど、手がかかりますが、酒粕の新鮮な香りを大事にしたいので酒粕ペーストは作り置きせずに、こうして毎回作るようにしています。
保湿力のあるオレイン酸が豊富な椿オイルは石けん作りには鹼化(けんか)という、せっけんになっていく反応がとても遅く、少々扱いにくいオイル。
そして酒粕はアルコールを飛ばしていないと鹼化が早まってしまう特性があります。
長年石けん作りをしている石けん職人のmiyukiちゃんでさえ椿油と酒粕の特性を掴むまでに最初は苦労して、写真のように試作で失敗して分離したりしていましたが、すぐにコツを掴んで今では安定して作れるようになりました。
そして、最後まで迷った石けんのデザインは、草木染めのれんが揺れる勝山の町並みに似合う石けんを考えて、藍染めの藍を使用することにしました。
藍は人類最古の天然染料と呼ばれ、古くから肌荒れに良いと民間薬にも用いられてきました。
こうして藍のJAPAN BLUEが目にも鮮やかな石けんになりました。
ため息が出るほど美しい、MATSURIKA SAVONの「酒かす 椿」
藍を使ったデザインは、養護教諭時代からの友人であり石けん仲間であるK先生のアイデア。
御前酒の杜氏の麻衣子さん、三浦邸のおばちゃん達、K先生、miyukiちゃん、たくさんの人達の協力を得てようやくできあがった石けんです。
たくさん作ってずらっと並べると、なんだかドラマチック。
最初のロットでは藍の量が少なく写真よりも色が控えめの仕上がりですが、やり方を改善して今は鮮やかな藍色が出せるようになりました。
そして、12gのトライアルサイズの石けんも藍が映えてめちゃめちゃ可愛い♡
切り分けた直後の藍は緑がかったブルーグリーンで、この色も大好き。
数日経つと落ち着いた藍の色に変化していきます。
香りは甘く芳醇で美味しそうな酒かすの香り。
うちの息子はこの酒かすせっけんの香りが「酒まんじゅうみたいで美味しそう〜」と一番のお気に入りです。
そして保湿力はMATSURIKA SAVONのラインナップの中でナンバーワンです。
(次いでヤマブドウとローズがしっとりタイプの石けんです)
モニターで使っていただいたアトピーの方も、酒かす 椿の石けんが一番肌がしっとりと落ち着いて、後で薬を塗らなくても痒くならなかったとのこと(※個人の感想なので、効果を保証するものではありません)。
新しいあじさい色のパッケージもとても好評です。
トライアルサイズ・レギュラーサイズ共に、MATSURIKA SAVONのWEBショップ→☆
または、真庭市内でしたら勝山の御前酒蔵元辻本店 NISHIKURA内の蔵元直営ショップSUMIYA→☆
真庭あぐりガーデン→☆
販売スタートしました!
(岡山市のタカシマヤは販売開始の手続き中なのでいましばらくお待ちくださいね。)
乾燥肌〜普通肌、荒れやすい肌におすすめの 酒かす 椿せっけん。
椿オイルのつるつるしっとりの保湿力と酒粕の肌がもちもちする極上の使用感。
毎日洗顔しながら酒粕パックができてしまう石けんなので、泡をたっぷり肌にのせるようにお使いください。
このせっけんを使いながら、岡山県北部・旭川沿いの勝山の美しい町並みに思いを馳せていただけたらこんなに嬉しいことはありません。
機会がありましたらぜひ勝山に足を運ばれてみてくださいね。