西日本豪雨とラベンダー摘み

天上にあるすべての水をひっくり返したような西日本豪雨から1週間以上が経ちました。

今回、各地域から温かいメッセージをいただき本当にありがとうございます。
工房の先の道は土砂災害で通行止めになっていますが、お陰様で工房や自宅などは無事です。

濁流だった旭川も、あちこちに痛々しい爪痕を残しながらも、水位が下がり以前の清流に戻りつつあります。


今回、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお悔やみを申し上げます。

被災された方々に、何かできることをしたいと思いつつ、
でも事業を始めたばかりの私にできることはあまりにも限られていて・・・
せめてもの気持ちで、県内の友人からダイレクトに届くルートで被災地に石けんや支援物資、心ばかりの支援金を送りました。

石けんは、災害時だからこそやさしい香りや泡立ちに癒やされてほしいと願いをこめて。
今後もできる範囲のことを続けていきたいです。

そして、豪雨でずっと行けなかったラベンダー摘みにようやく行ってきました。

勝山からラベンダーの咲く蒜山(ひるぜん)までの道路は、途中何カ所も土砂で片側通行だったりしましたが、なんと行くことができました。
蒜山高原の景色はいつ来ても雄大で美しく大好きな風景。

このラベンダーは、ひるぜんの石けんシリーズのラベンダー石けんの原材料で、ひるぜんのハーブガーデン・ハービルさんで丹精込めて無農薬栽培されたもの。

未曾有の大雨にも負けず、ぴんと背筋を伸ばすように気高く咲くラベンダーに、被災地の一日も早い復興を願いました。

下界は灼熱の日でしたが、1,000m急の山々に囲まれた蒜山高原の風は爽やか。
風が吹く度に甘くフローラルなラベンダーの香りが鼻をかすめます。

さっそく作業開始。
いつも一緒に仕事しているmiyukiちゃんの他に、時々工房にお手伝いに来てくれるakikoさん、chiharuちゃんが助っ人で来てくれました。
みんな本当に本当にありがとう。

石けんに使うのは、香りが一番強い花穂のみ。
花穂を切り離すのはなかなか根気のいる作業です。

パワフルでハートフルな助っ人のお陰で、昨年より作業がスムーズで、お陰様でたっぷりのラベンダーを収穫することができました。

そして、この後数日は、工房でずっとラベンダー仕事。
茎と花穂を切り分けて、軽く乾燥させた後に、フレッシュな状態でオーガニックオイルにじっくり浸けこむので、今シーズンのラベンダー石けんができあがるのはまだまだ数ヶ月後になりそうです。

今回の西日本豪雨の災害の被害を思うと、こうして昨年と同じようにラベンダーを摘みに行き、工房でこうして仕事できている日常が心より有り難いなぁとしみじみと思う。

商売のみのことを考えるのなら、石けんを作るのにこんな手間暇かけた効率の悪い仕事をするのではなく、香りを精油のみでつけて「ラベンダー石けん」と銘打って販売するのは早くて安くて簡単なことです。
そしたらもっと価格を抑えることができるかもしれない。

でも、せっかく地元に無農薬のこんなに良いラベンダーがふんだんにある。
今まではこのラベンダーはハーブガーデンの来場者に摘んでもらうのが主でしたが、生産者さんからの良いものを、きちんと製品化して、遠くのお客様へも届けしたい。

こんな国産無農薬のラベンダーをふんだんに使った石けんは、なかなかお目にかかれないと思うのです。
MATSURIKAの石けんが、良いものづくりをしている生産者さんとそれを必要としている消費者の方々との懸け橋になれたらと思う。

昨年の蒜山のラベンダーオイルで作った石けんは今も香りをとじ込めた状態で皆さんにお届けする日を待っています。

お陰様で、香りの良さと、洗い上がりのキュキュッとした使い心地が気持ちが良いと、昨日もお客様のリピート注文が入り本当に嬉しい!

今の私たちにできることは、生産者さんの思いがこもった原材料で良い石けんを作ること。
心を込めてお届けすること。
そして、きちんと発信して伝えていくこと。

今、溢れんばかりの洪水のような情報の中で、多くの人たちが何が大切かが見えにくくなっている。
人との付き合いも稀薄になってきているのかもしれない。
私自身SNSでつながっているだけで、何年も連絡をとっていない友人がたくさんいる。

でも今回の豪雨で何年かぶりに心配して連絡をくれた友人達や親戚とまた連絡を取り合うようになった。
そして私が石けんの事業を始めたことを知り、5〜10年ぶりにつながって、石けんをリピート購入してくれている友人達もいる。

石けんの販売をスタートして、生産者さんの思いがこもった原材料を心を込めてカタチにすると、遠く離れていても人の心に響くのだなぁと実感しています。
そんな人の心に響くモノ作りをこれからも続けていきたいです。

こうして書いているブログがどれだけ多くの人たちの目にとまるかは分からないけれど、東日本大震災をきっかけに東京での仕事を辞めて岡山に移住して、そしてこうして子育てしながら石けん工房を営んでいる私の拙いブログが、何でもいい、西日本の災害に目を向けるきっかけになったり、顔の見える生産者さんの野菜を買いたくなったり、オーガニックやフェアトレードに目を向けたり、大切な人に自分の気持ちを伝えたり、誰かに届いて何かの気づきやきっかけになれば嬉しいなぁと思う。

さて、やっと息子の付き添いばかりだった3連休が終わったので、今日はこの後、工房でラベンダーの作業と、注文いただいたお客様に石けんを発送する作業をしたいと思います。

Share this
  • follow us in feedly

高価な理由「石けんではないのです」

夏場の石けん作り〜クロモジ石けんできました〜

関連記事

  1. 石けん作りは化学とアート

    立冬を過ぎ、山が紅葉で彩られ、空気が澄みわたる11月は大好きな季節です。工房の前の道を上…

  2. 石けん工房という名の保健室

    先日工房で行ったセミナー「起業女子応援Café」の様子を津山朝日新聞さんが、11月28日に一面に掲載…

  3. 新作せっけん「春 2019」を限定発売します!

    うららかな日差しと春一番のような風が吹く今日この頃。気がつけば2月も最後の日ですね。MA…

  4. 雪国から晴れの国へ〜初のイベント出店〜

    こんにちは。今月はずっとブログを更新できなくてごめんなさい。先日、岡山市の西川緑道公園筋のイ…

  5. 芳醇な香りと極上の保湿力〜酒かす 椿せっけんができるまで〜

    こんにちは。台風が心配な週末ですね。各地で被害が大きくならないことを祈るばかりです。…

  6. 疲れた心を癒すクロモジの香りを小瓶につめて

    入梅の候、雨に濡れた山の緑が目に鮮やかで花々も美しい季節。工房前では、大好きなカモミールが咲き始…

  7. 頭でなく心動かされるものを作りたい

     先日、仕事で仲良くなった20代の女性記者さんと話をした時に印象的だった言葉。『「オーガニック」…

  8. 作り続けられる幸せ〜夏季限定・和ハッカ藍 石けん〜

    暦の上では立秋を迎える頃。連日の酷暑ですが、夕方吹く涼しい風に少しずつ秋の訪れを感じます。工…

PAGE TOP